葛飾区亀有三丁目の香取神社(本宮は佐原の香取神宮)に由来する秋の例大祭の物語である。香取神社は亀有の地で七百三十年の歴史を誇るが、現在の祭礼の原形は宮神輿の歴史から百三十年以上と考えられる。わが町の祭礼は登録町会が18町会あり、それぞれの懲戒は神輿を持ち、秋の例大祭では亀有全体で大いに盛り上がるのだ。およそ三十年ほど前より各町会の祭りが盛んになって担ぎ手も増え、戦後出せなかった宮神輿も町会巡行が出来るようになった。こうなると、各町会の宮入が大問題に。ご承知の通り、宮入はお祭りのハイライト。各町会神輿は砂払いの時間があり、その時間までに御神所に戻らなければいけないため、神社の鳥居の前では宮入の順番をめぐって揉め事になり、やがて喧嘩に発展していく始末。力による勢力争いは見ようによっては楽しいが、いつも勝てるわけでない。これも毎年のことなので、お互いが顔見知りになり、言葉を交わすようになり、やがて酒を酌み交わす仲になっていく。こうしたことが二十年続いたある時(やはり酒の席)、いつもの様に「お宅は今年何時宮入?」などという会話から「皆で仲良く連合で宮入できたらいいなあ。」という声があがり、顔見知りの喧嘩相手たちは当然のごとく即、賛同。早速、定期的に会議を開くようになっていった。しかし壁は高かった。「家の神輿がどうしてよその町会へ行かなくてはいけないんだ?よそへ行くには挨拶をしておかなければいけない。」という声が出て、ムードはやや険悪に。そんな中での取りまとめには随分と苦労した。しかしそんな甲斐もあり、十年前御神輿五基(子供神輿も含む)五百人でスタートした「亀有みこし協議会・連合渡御」だが、昨年は大人神輿八基、子供神輿二基で約三千人(警察発表)の人が出るまでに成長したのである。かつての喧嘩相手は良きパートナーに変わっていった。
亀有みこし協議会は十一年前全身が立ち上がり、十年前に徒党の様な「連合渡御」でスタート半纏はそれぞれ町会により異なるが「亀有みこし協議会」の半纏は一つである。大紋は「KAMEARI」をもじったデザインで、神輿の担ぎ手の足をイメージしたもの。亀有は一年中お祭りの話題が出る。勿論、インターネットにまで登場している次第で、スローガンである「いきいきかめあり!」がまさに文字通りとなった。
連合渡御は神輿比べの感もあり、あるとき祭り好きの年寄りが「家の神輿はみすぼらしい、相応しいのを造ろう」と提案。この十年で四基の神輿が新調された。神輿が新調されるくらいだから、手拭い、半纏はそれぞれに工夫をこらし毎年新しく珍しいものが登場する。こうなるといやがおうでも盛り上がり、驚いている次第である。他にも九十を超したてこ舞が出てきたり、おばさんたちの女神輿が登場したり、楽しく成長し続けている。やっぱり、町おこしは神輿に限る!